マイホーム購入or賃貸論争に決着

NEWS ポストセブン
【書評】『「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ』(金子哲雄/角川oneテーマ21)

「マイホームの購入はおやめなさい。だって住宅ローンは現代の小作農のようだから」なんて、アドバイスされたらどうしますか?

著者は、そのような刺激的な言葉をちりばめながら、本書でマイホーム購入・賃貸論争に決着をつけています。30年を超える間、ローン返済のために働き、所得の大きな部分を銀行に持って行かれる姿は、作物を収穫してもその大きな部分を地主に取られてしまう小作農のようであるというのです。

そして、苦労の果てに自分の持ち物になったその家は、不動産価格の下落が当たり前の現状では、資産価値はわずかなものになってしまいます。また持ち家があれば、それに縛られて、柔軟にライフスタイルの変更ができなくなります。そもそも今では、30年以上、返済するための安定した収入がある保証はありません。

なぜそういうことになるかといえば、モノの価格が下がって賃金も下がる現在のデフレ経済と、世界中のライバルと戦わなくてはならない変化の速いグローバル経済のためです。

デフレ経済とグローバル経済においては、企業も個人と同じなのです。マイホームを持たないのと同様、企業も、設備や土地、場合によっては従業員を極力もたず、必要な時に外部から借りるなり、一時的に買うなりすればよいとする考え方が重要になってきています。

持つべきものは技術やノウハウで、設備や土地ではないのです。それが「持たない」ビジネスです。そのほうが、特色を出しながら、世の中の素早い変化に対応でき、高い利益を上げることができるのです。本書には、企業の事例として、「持たない」ユニクロやアップルの成功、「持ってしまった」ダイエーの失敗などが収められています。

昨今の経済状況における、企業の「持たない経営論」はすでにいろいろなところで説明されてきました。しかしながら、本書のいいところは、私たちの生活と企業の活動とを一緒に論じているところです。マイホームの購入と、ユニクロの成功やダイエーの失敗とをともに論じているので、難しい経営論も一挙に身近になります。

本書を読んで、「持たないことが大事なのよ」なんて、友人や家族と、仕事や生活のことを経済の問題として、話し合ってはいかがでしょうか。でも、そう解説したら、「じゃあ、バッグもアクセサリーもいらないね」と反撃されそうですが。

安定堅実、そして加速度的に資産を増やす不動産投資15のステップ
空室対策で高利回り 不動産投資家養成プログラム The大家さんマーケティング 2ndインパクト
給与収入に関らず国の間接保証で不動産投資できる! 公的保証で事業性資金融資を銀行・信金から受ける方法―スルガ銀行からも住信L&F(旧ライフ住宅ローン)からも借りられなくても銀行借入で不動産投資2011年版―

中国の地方政府に投資熱

毎日新聞 9月5日(水)

景気が減速する中国で、地方政府が大型の景気対策を相次ぎ打ち出しています。地方政府の投資意欲は旺盛で、08年のリーマン・ショック後に行われた4兆元(約52兆円)の景気対策にちなんで、「地方版4兆元」と呼ばれています。大型の景気対策に及び腰の中央政府に代わり、地方政府が動き出した形だが資金的な裏付けがない計画も多く、実現性を疑問視する声も上がっています。

「(省、市)政府、銀行、企業がウインウイン(双方に利益がある)の発展目標を実現しよう」--。中国内陸部、湖南省の共産党幹部は今年7月、省都の長沙市に総額8292億元(約11兆円)を投資する計画を発表し、企業や金融機関に投資を呼びかけた。同市内で空港の拡張や都市交通整備などを実施する計画です。

同じ内陸部の貴州省も7月、3兆元(約39兆円)前後を交通インフラなどに投資すると発表しました。重慶市も8月、1兆5000億元(約19兆5000億円)の産業投資を発表したほか、広東省も海洋関連産業に1兆元(約13兆円)超を投資する計画を発表しました。

また、天津市は1兆5000億元のエコ産業投資、広東省広州市は2000億元(約2兆6000億円)超の交通整備計画--と、地方政府の大型投資計画の発表はとどまることがありません。

欧州債務危機の影響による輸出鈍化などで、中国の今年4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は7.6%と、約3年ぶりに8%の大台を割り込んだ。景気減速が続く中、大型の景気刺激策を求める声が高まっていますが、中国政府はかつての4兆元の景気対策が不動産バブルやインフレを招いた教訓から、大型の財政支出には慎重な姿勢を崩していません。そのため、業を煮やした地方政府が独自に動いた格好です。

しかし、景気減速の影響で今年1~7月の地方政府の財政収入は前年同期比13.8%増と、伸び率は前年同期(34.9%増)と比べ大きく鈍化しました。一部の信用力が高い地方政府を除き、地方債の独自発行も禁じられているため、投資の資金計画はほとんどが金融機関の融資頼みとなっています。ところが、4兆元の景気対策で地方政府の債務残高の総額は10兆元(約130兆円、10年末)超に拡大しました。「採算性の低いプロジェクトも多い」(邦銀関係者)ため、金融機関も無理に融資すれば不良債権を増やしてしまう恐れもあります。このため「かけ声倒れに終わる可能性もあり、過度の期待は禁物」(日系商社幹部)と冷めた見方も少なくないのです。

ジョニー上条式 月3万円からできる海外不動産投資  特典付き
Globalのマレーシア・イーブック
在宅中国貿易 完結編

過去最低を更新した金利の低下で住宅ローンは借り時?

アゴラ 8月11日(土)

住宅ローン金利の下落が続いています。7月に過去最低を更新したフラット35の金利は、8月に入ってさらに低下しました(長期のローンであれば最低金利が7月は1.94%、8月は1.84%)。

また、住宅版エコポイントは7月に終わりましたが、金利が優遇されるフラット35Sと、住宅ローン減税はいまだに継続中で、消費税の増税も本日の8月10日に参院で決まるでしょう。

金利は低く、購入支援制度はあり、消費税も近いうちに上がる。ここまで外部環境が整ってしまうと「今が買い時だ!」とか「今が借り時だ!」と浮き足立ってしまう人も少なくないでしょう。しかし、株式投資では慎重派が買いに動く時は株価が天井だと相場は決まっています。

さて、では今は本当に借り時なのでしょうか?

過去に借りた人が借り換えをするならばタイミングとしては悪くないでしょう(さらに下がったとしても再度借り換えをすれば良い)。事業用資金なども、今のうちに借りておくという判断はありえます。

しかし、今住宅を買うべきかどうかは別問題です。外部環境が整っているという事はそれだけ住宅市場にお金が流れている事を意味します。つまり、それだけ住宅価格がかさ上げされているという事でしょう。

株式市場では、ある企業に利益が増えたとか新製品の売れ行きが好調だといった情報があったとしても、それが世の中に知れ渡っている公然の情報であれば、その情報は株価に反映されてすでに値上がりしています、つまり公然の情報をもとに売買をしても利益は出せない、と考えます8。これを「情報が織り込まれる」と表現します。従って株価が大きく動くのは未知の新情報が出てきた時、という事になります(これはその企業ごとの個別の情報の場合もあれば、失業率が改善されたとか設備投資が減っているといった景気全体に関わる情報の場合もあります)。

不動産市場は株式市場ほど効率化がなされているわけではないので(株の売買は証券取引所に集中しているが、不動産は全国津々浦々で売買されている)株と全く同じ扱いは出来ませんが、理屈の上では同じように考えて問題はありません。その上で、地域ごと、建物ごとに異なる個別の事情を考慮すべきです。

家を買うのは慎重に考えるべきといった話をすると、ごく一部の特殊な事情を持ち出した上で「買った方が絶対に得だ」と反論をしてくる困った方が僅かにいるのですが、それは「アップルの株を10年前に買っておけば大儲けしていた、だから株は買った方が絶対に得」という位に飛躍した論理であるといわざるを得ません。

正しくは「過去10年、日経平均やニューヨークダウはアップダウンがかなり激しい時期だったので株式投資で利益を出すのは難しい状況だったが、アップルのような一部のエクセレントカンパニーは継続的に成長を遂げた」といった具合に、全体→個別という手順で考えるべきでしょう。

先ほど説明した金利の低下を始めとした「購入する際に有利な状況」というのは誰もが知っているので、それによって買うことが有利だと判断するのは間違いです。これは1ヶ月も前に利益が倍増したと日経新聞の1面で報じられた企業の株を、「業績が好調だから」という理由で買う事と同じ位マヌケな行動です。

それでも今が買い時だとしか思えない・・・という方は家電エコポイント制度が終わったあとに液晶テレビがどれ位値下がりしたか、それによって家電メーカーがどれだけ大赤字をこうむったか、といった事を考えれば、外部環境がいかに本来の価格をゆがめてしまうか良く分かるでしょう(この話は「高額商品は消費税増税後に買え~価格は市場が決める~」でも書いた)。これは増税後がお得とか、住宅ローン減税が終わった後に買えば良いという話ではありません。購入支援制度が終わる時期や増税される時期も決まっているので、事前にタイミングをはかることで利益を狙うのは難しいという話です。

住宅購入はあくまで自身とパートナーの収入、雇用の安定度、頭金はしっかり貯まっているか、といった内部環境を元に判断すべきで、外部環境に振り回されると判断を誤る、と肝に銘じておきたいです。

売買のタイミングはリターン(結果)に大きな影響を与えない、という事は株式投資ではすでに常識と言っても良い話です。株式投資において結果に一番大きく影響を与えるのは、タイミングや銘柄の選択ではなく、資産配分(アセットアロケーション・手持ちの資金をどの資産にどれ位の割合で投資するか)だと言われています。これはリターンの7割から9割を決めるという研究結果が発表されています。

住宅購入にアセットアロケーションの理論を適用するならば、一番大きな意思決定は「買うか買わないか?」つまり持ち家か賃貸か?の判断でしょう。その次は「いくらの家を買うか?」、そして「いくらのローンを組むか?」、次が「何年で返済するか?」でしょう。リスクを決定付ける「金利は変動か固定か?」も与える影響度はこれらの判断と並んでかなり大きいです。「いつ買うか?」は重要度として相当低くなります。

住宅を買う時には決めなければいけない事が多すぎて何を重視すべきか混乱しがちですが、これ位シンプルに考えた方がかえって正しい結論を導く事が出来るでしょう(壁紙の色と固定か変動か?を同列に考えるような事だけは避けたい)。これは住宅版・アセットアロケーションとしてぜひ覚えてほしいことです。

もちろん、タイミングをうまく取ることが出来れば損益に大きな影響を与えますが、それは将来の不動産価格や金利を事前に予想できる、という無理な前提の上でしか成り立ちません。

株でいう銘柄選択は「一軒家かマンションか?」や「どの地域に家を買うか?」といった部分にあたるでしょう。もちろんこれも人生に大きな影響を与えるでしょうが、影響度で言えば買うか買わないか、いくらのローンを組むか、といったものよりは低いです。なぜなら住宅ローンが破綻すれば、家がどんな形態であろうとどこに住んでいようと家を手放す事に変わりは無いからです。よっぽど余裕のある人ならば別でしょうが、返済に少しでもリスクのある方ならば、考えるべき優先順位を間違えないように注意することがいいでしょう。

ジョニー上条式 月3万円からできる海外不動産投資 特典付き
ローリスク・ハイブリッド投資法
中村式 不動産投資塾