産経新聞 5月20日()
5月22日開業する世界一高い電波塔、東京スカイツリー(634メートル)周辺では不動産価格が上昇し、新しいランドマークの登場に業界の期待も高まっています。ただ、東京タワーとの比較でブランド力の弱さを指摘するデータもあり、ツリーを建設・運営する東武グループはブランド力の強化を急いでいます。
「お部屋からど~んとツリー」「話題のスカイツリーエリア」。スカイツリーのおひざ元、東京・押上の不動産店にはこんな文言のチラシが並びます。メーンの浅草通り沿いには、真新しい外装のカフェや土産物店が営業を始め、ツリー開業前にもかかわらず、Tシャツや菓子類などを買い求める観光客でにぎわっています。
国土交通省が公表した平成24年1月時点の公示地価では、東京都内(約2500地点)で地価が上昇した計8カ所のうちスカイツリー周辺が2カ所ありました。
ツリー周辺で昨年から今までに分譲・分譲予定のマンションは30件以上あり、マンション分譲大手、大京の木村司専務執行役員は「今後も強気に販売できる」との見方を示します。
一方で、“老舗”の東京タワーと比較すると、ツリー効果は限定的です。
住宅・不動産情報サイト運営のホームアドバイザー(東京)が4月中旬に実施した調査では、ツリーから3キロ圏内の不動産会社72社のうち、「ツリーが見える部屋の家賃が上がった」と答えたのは7社で全体の約1割。同じマンション内でツリーが見える部屋と見えない部屋に家賃差があるかどうかで「差がある」と答えたのは2.8%で、同じ質問で東京タワーは43.8%でした。担当者は「東京タワーの方にお金を払う価値を感じる人の方がまだ多い」とみています。
こうした中で、スカイツリーの運営会社「東武タワースカイツリー」は、ブランド力の向上に懸命です。
同社は名称やロゴマーク、ツリーのシルエットなどの商標を登録すみで、現在約500種類の商品があります。鈴木道明社長は「海外からも共同企画の話がくるはず」と、商品の広がりがブランドイメージの向上につながることを期待します。
知的財産権に詳しいアンダーソン・毛利・友常法律事務所の城山康文弁護士は「ブランド価値を高める手段としては有効だ」と評価します。スカイツリーの商標ビジネスが軌道に乗れば地価上昇以上の波及効果が期待できそうですね。
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