震災後、新築価格が上昇している

Business Media 誠 12月22日(木)

2011年、最も大きな出来事として、東日本大震災という痛ましい大災害がありました。

「2011年の住まい選び」を考える際、大震災なしで語ることはできません。事実として、大震災は、消費者の住まい選びに大きな影響を与えました。例えば「家を所有しない生き方」がメディアで特集されるなど、従来の価値観を覆すような生き方も取り沙汰されるようになったのです。

まずは2011年のヒット商品ランキングから今年の傾向を分析する切り口はさまざまですが、ベスト10の商品のほとんどに「つながり」や「コミュニケーション」の要素が含まれています。

「スマートフォン」「Facebook」「誰とでも定額」などはもちろんですが、「GOPAN」や「マッコリ」にも家族・友人などの「つながりの要素」が見え隠れします。こうして見ると東日本大震災後の重要なキーワードとして、「つながり」が消費に大きな影響を与えた1年だったと言えるのではないでしょうか。

住まい選びにおいても、東日本大震災後に消費者の志向に変化が見られました。「東日本大震災による住意識の変化」調査によると、震災後に親や子どもと近くに住みたいという願望が強くなっています。

「遠距離にいる親族(両親や子供など)を呼び寄せる、近くに引っ越すなど、できるだけ近くに住もうと考えるようになった」が震災後33%(震災前25%)に増加しました。

震災後、特に若い世代ほど、親族とできるだけ近くに住もうという意向が増えているのです。深刻な災害により、身近な「つながり」である家族を想う気持ちが強くなったのでしょうか。

他の調査でも、震災後に今後大事にしたいことのトップが「家族・親戚とのつながり」でした。大震災をきっかけに消費者が「本質的な問い」と向き合った結果、多くの人がたどり着いた答えが「家族とのつながり」だったのです。

耐震リフォームの需要も一気に増えましたが、それより2011年を通じて、震災前後でどのように変化しているかが重要でしょう。そういう意味では、実は住宅商品の購入単価にその変化が現れています。

中古戸建、中古マンションの成約価格は震災前後で大きな変化はありませんが、新築戸建ての成約価格が震災後に高くなっているのです。震災前の月平均の成約価格は3423万円、震災後の月平均成約価格は3504万円で、80万円ほど購入単価は高くなっています。また、首都圏の着工戸数も同じ月平均で見て、震災後のほうがわずかに増えています。

これにはさまざまな理由が考えられるますが、前段の「つながり」というキーワードから考えると、消費者が大事にしたいと思う「家族とのつながり」に対しては震災前よりも積極的に消費するようになったと考えられます。

大事な「家族のつながり」を災害から守るのは、何よりも「住まい」です。その構造や性能には妥協しないようになったのかもしれません。自分たちが大切にするものへの消費を重視した結果が成約価格に表れたのでしょうか。

購入費用増加分については「家族のつながり」が「親子近居」をもたらし、結果として、親からの資金援助が寄与していると考えられます。

2011年を振り返ると、東日本大震災によって消費者が本質的な「住まい」の価値を改めて実感した年と言えるのではないでしょうか。大切な家族を守るという「住まい」の価値の重要性を再認識したのだと。

単にコストパフォーマンスだけを考えて住まいを選ぶのではなく、自分の大切にするものに対してコストをかけているのでしょう。

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