ビル爆破で解体する鹿島の新工法で火薬使用量10分の1

産経新聞 11月26日(土)

鹿島は、爆薬を使って都市部の建築物の解体工事を行う解体工法を開発しました。大型基礎の鉄筋コンクリート(RC)部材をできる限り少量の爆薬を用いてブロック状に分断する工法で、従来のように大型重機などを用いずに解体できます。発破工法は解体が効率化できるものの、爆薬を使うことからほとんど使われることはありませんでした。新工法は爆薬量が従来の発破工法の約10分の1で済むほか、振動や騒音も大幅に低減できる上、二酸化炭素(CO2)排出量も削減できます。

実用化したのは「マイクロブラスティング(MB)工法」です。鹿島をはじめ、産業技術総合研究所、カヤク・ジャパン、構造安全研究所の4社・機関が共同開発しました。大型の基礎などのRC部材を従来の発破工法と比べ、大幅に少ない爆薬量で破砕し、部材を切断するのです。

ひびを入れたい部分にドリルで穴を開けた後、爆薬を紙テープと糸で覆い、さらに防水樹脂で被覆した導爆線を挿入します。遠隔操作で爆破し、部材を切断します。一定間隔でひびを入れ部材を脆弱(ぜいじゃく)化できるため、部材をたたき壊すタイプの大型重機を使わずに効率的に解体できるのです。

地下の基礎梁(はり)を解体する場合のCO2排出量は、新工法を活用すれば一般的に試算されている従来工法の排出量と比べ15%削減できる計算です。

コストは、現状では大型重機でたたき壊す従来の解体工法と比べ割高になりますが、円盤形のカッターがついたワイヤーソーでの解体工法と比べると半額程度に抑えられるということです。すでに都内で3件の解体実績を積んでおり、現在4件目の作業も実施中ということです。

この工法の開発に携わった柳田克巳・建築生産グループ上席研究員は、「発破を適用する解体範囲は現在、全体の半分ほどで実現しているが、今後さらに適用範囲を広げられれば、その分CO2削減にもつながる」と環境負荷低減効果をアピールしました。

ただ、少量の爆薬で済むといっても発破作業が行われ、付近住民の不安を和らげるために「多くの適用実績を増やし、発破による失敗がないということを早期に示せるようにすることが課題」としてます。

現在、東京都内では日本橋や丸の内などで大規模ビルへの建て替えが行われています。しかし都心部の場合、稼働中のオフィスビルが隣接していたり、地域によっては近隣に一般住宅があるなど建物解体の際の騒音や振動は常に課題となっていました。

従来、解体作業を行う場合は、重機の先に大きなのみのような鉄棒をつけて連続でたたきながら破砕し、解体する方法が一般的でした。ただ、この工法は音がうるさいだけでなく、振動も大きいのがネックです。

このため、ビルが隣接する場合などは、周囲への配慮から、より騒音や振動が少ないワイヤーソーで少しずつ切り崩しながら解体していく工法が使用されます。それでも、この工法だと工期がかかる点がネックです。

鹿島などが実用化した今回の工法は、重機をほとんど使わずに済むなど作業の効率化による環境負荷低減にとどまらず、作業時の騒音、振動も大幅に低減できるため、顧客に説明しやすいとしています。実際、大手不動産などが関心を示しており、その普及に向け受注活動を活発化させる方針です。

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