サーチナ 12月6日(火)
浙江省温州市の民間金融危機はまだ続いています。11月に入って10人の企業経営者が失跡しました。年末の決算期が近付くにつれ、返済期限を迎える債務の数がピークに達することが予想されます。温州市政府はこのほど発表したリポートで、資金繰り悪化を引き金とする企業の倒産や経営者の失跡が今後も一部の地域で発生する可能性があるとの見方を報告しました。
温州市政府関係者によると、市内の一部企業の間では、本業外の投資活動への誘惑に負け、短期融資によって調達した資金で長期投資を行ったり、グループ企業から資金を借りて外部に投資を行ったりする短絡的な資金繰り活動が見られたようです。不動産、鉱石などへの投資はその投資リターンが本業よりも多く、回収も早いため、本業におろそかになる企業経営者が出ました。
温州政府がまとめた2011年1―9月の同市の経済情勢分析報告からは、同市の実体経済成長にかかる圧力や、企業の経営圧力が増加していることが読み取られます。今年1―8月に赤字を計上した市内の工業企業数は前年同期比35.1%増加し、増加率は1―6月に比べて15.7ポイント拡大。赤字合計額も前年同期から53.9%増加しました。工業企業のこの期の納税額は前年同期比31.6%、管理費は16.8%、資金調達コストは42.6%ずつ増加です。利益総額は同7.8%増と、1―6月の伸びを7.8ポイント下回りました。
また1―9月は工業生産者出荷価格(PPI)が前年同期比3.3%上昇したのに対し、購入価格指数は同8.3%上昇していて、上昇率に5ポイントの差が出ました。高く原材料を仕入れて、安く出荷していることになります。大手企業の経営は今のところ安定を維持しているものの、業績は徐々に下り坂です。第3四半期は、生産量と販売量が前年同期と横ばい、あるいは増加した大手企業の比率が81.7%、79.1%と、第2四半期よりそれぞれ8.1、8.6ポイント低下しました。
さらに、第3四半期は、海外部門の業績が悪化した企業の比率が41.1%と、前年同期に比べて21.8ポイント拡大したほか、受注が増えた企業の比率が32.8%となって、同12.9ポイント縮小しました。また、9月末の手持ち受注で1カ月以上の正常生産を維持できる企業の比率は77.1%と、8.4ポイント低下しました。
労働力確保の難しさも常態化しているようです。人件費が大幅に上昇する状況下、企業の賃金未払い問題が深刻な状態にあります。第3四半期は、同市の大手企業の70.8%が労働力不足の問題を指摘していて、この比率は第2四半期に比べて1.5ポイント上昇したことになります。そのうち、労働力の不足率が10%以下の企業が45.4%、10―20%が16.2%、20―50%が8.5%となっています。
温州経済を長期にわたって研究している専門家によると、温州の企業の間で一昔前に、相互に担保を出し合って共同で融資を受ける方法がはやっていたのですが、いまになってそれが徐々に問題化しているということです。温州の民間金融危機は、同市の民間信用体系をある程度恐し、企業の資金調達コストを膨らませています。
温州市政府がこのほど発表した「経済金融安定維持に向けた活動報告書」によると、10月4日以降、経営に問題がある企業の倒産数はこれまでの87社から114社に増えたものの、連鎖的な倒産現象はある程度収まってきました。温州市工商部門のまとめによると、1―10月に同市に新設された民間企業は前年同期比19.1%増の1万4135社、登録が抹消された民間企業は同11%増の3051社でした。しかし、経営に問題がある87社が保有する銀行債務は15億8900万元、発行した手形の規模は9億600万元です。これら問題企業と共同で銀行融資を受けた企業は合計536社あって、相互担保方式によって受けた融資のリスクが拡大しています。
専門家によると、これら企業の本業には問題はないのですが、一部企業は倒産した企業、特に経営者が失跡した企業の連帯責任を負う必要があります。さらに、相互担保方式が崩れれば、銀行から新たな融資を受けることが難しくなるでしょう。二重の圧力の下で、資金チェーン断裂による潜在リスクが存在しています。
温州市政府は、返済期限を迎える債務の数がピークに達する決算期の年末が近付くにつれ、資金チェーン断裂をきっかけとする企業の倒産や経営者の失踪が局地的に発生する可能性を報告しています。
温州市政府は近く、17業種をそれぞれ代表する企業に対して、本業の内容、資金調達先などを把握する全面調査を実施する計画です。
~三井住友銀行出身の現役不動産鑑定士が教える~初心者でもできる!不動産投資プラチナ指値術
空室対策で高利回り 不動産投資家養成プログラム The大家さんマーケティング 2ndインパクト
不動産投資絶対成功税務マニュアル